<Kepler Trackケプラートラック3泊4日>
記録者Tammy
【概要】
ケプラー・トラックは、テアナウ湖とその南に位置するマナポウリ湖との間に
そびえる山々の連なりを巡る約67kmの周回ルートである。1988年に整備
されたルートだけに、「Hutハット山小屋」は、いずれも新しく、快適だ。
ニュージーランド(NZ)には、人気の高い「Great Walkグレート・ウオーク」と
呼ばれるトレッキングコースが9つあって、ケプラートラックは、そのうちの
1つである。
【コース説明】
(1日目)
3/11(金)(曇りのち晴れ) 13.8km 歩行タイム 6 時間
7:00 Queenstown のホテルを出て、シャトルバスで、Te Anauに向かう。
9:15 Visitor Centre 内にあるDOCの受付で、ハットのチケットを受け取る。
10:25 シャトルバスでコントロールゲートまで、運んでもらう。
10:40 身支度を整えて、いよいよコントロールゲートを出発する。
12:14 ブロッドベイ着。 (昼食タイム) 標高 200m
14:50 Lime Stone Blufs 標高 747m
16:40 Luxmore Hut 着 (山小屋泊) 標高 1085m
(2日目)
3/12(土) (晴れ) 14.6km 歩行タイム8 時間 15分
9:40 Luxmore Hut 発 〜 Luxmore Saddle 標高 1400m
11:50 Forestburn Shelter (昼食タイム) 標高 1270 m
14:45 Hanging Valley Shelter 標高 1390m
17:55 Iris Burn Hut 着 (山小屋泊) 標高 497m
(3日目)
3/13(日) (晴れ) 16.2km 歩行タイム 7時間 5分
10:00 Iris Burn Hut 発 標高 497m
13:20 Rocky Point (昼食タイム) 標高 300m
17:05 Moturau Hut 着 (山小屋泊) 標高 185m
(4日目)
3/14(月) (快晴) 6km 歩行タイム2時間
7:25 Moturau Hut 〜 Kepler Wetland 〜 Shallow Bay (Lake Manapouri)
9:25 Rainbow Reach の Swingbridge着 踏破しました。Finished !!
10:00 予約してあったシャトルバスで、Holiday Parkに向かう。
【 食料 】
朝食用)食パン1切れ、チーズのスライス 玉子スープ、バター、ジャム、
ドライフード(現地 調達)、コーンスープ、味噌汁、コーヒー(砂糖)
昼食用)食パン1切れ、生ハム、チキンラーメン、ポタージュ、ココア、
コーヒー、羊羹、味噌汁
夕食用)フリーズドライ米(おこわと白米)、きのこのリゾット、ビーフカレー
ライス、シーチキンフレーク缶、塩昆布、ベーコン(日本より持ち込む)
味噌汁、人参(生) ピーマン、(生)ハム、塩、コショウ、 コーヒー、
ドライフルーツ (果物)
携行食)チョコレート、各種アメ玉、小魚のスナック、お菓子(現地調達)
<美味しかったもの>
@人参とベーコン炒め / ピーマンとベーコン炒め・・・これは、最高にうま
かった! 野菜をもっと持っていけばよかった!
A赤飯は旨かった。
B真空パック入りのハムを炒めて食べた。Good !
C小型フライパンで、パンを焼いて、チーズオントーストして食べたら、
美味しかった。
<予想に反して>
@リゾットとビーフカレーは、値段の高い割りには、旨くなかった!
Aシーチキンは味がないので、生野菜と一緒に食べたらよい。
Bコッヘルは数が不足。今回、湯沸しと、シェラカップのみ持参したが、
不便だった。
C切ったり、むいたりするのに、アーミーナイフは、あまり使い勝手がよく
なかった。
<気づいた点>
@フライパンはとても有効だった。小型のフライ返しが必要。
A鍋はも少し大きくても、いいのでは・・・。
Bフキンは必需品だ。
C今回はソーセージが無かった・・・。なぜだ? 買い物リストに無かった?
D寝袋のライナーが必要かも。 よく汗をかいたからなぁー。
E首さげライト(発光ダイオード)は大変重宝した。
【紀行文】
<1日目>
クィーンズタウン → テアナウ → コントロールゲート → ラクスモア・ハット
ケプラーへ向かう前日はクィーンズタウン泊。 寒かった! 山を見上げると
何と山の峰々に初雪が・・・! だんだん不安になる。
翌朝7時TrackNet 会社のシャトルバスで、テアナウへ向かう。テアナウ
のVisitors Centre 内のDOCで、インターネットで手配していた山小屋の
チケットを受け取る。 これで準備はOK。グループのメンバーは、コントロ
ールゲートまで、我々を見送りにきてくれた。ここからHKさんと2人きり。
さぁ、行くぞ!ぶるるん。
テアナウ湖畔に沿って、森の中を歩く。ブロッドベイまでは、やや単調な道。
しっかり整備されている道だ。ブロッドベイには、休憩所があり、外に木製の
テーブルと椅子がしつらえてあった。ここで初めての昼食を取る。ガスストーブ
で、湯を沸かし、味噌汁、コーヒー、食パンを食べる。サンドフライの初攻撃
を受ける。
ここからは、本格的な登りとなる。かなりの急坂である。(高度差は約800m)
ザックは18kgを越える。ずしりと重い。どうもザックは担ぎ心地がよくない。
果たして登り通せるだろうか?でも、ランニング、筋トレ、冬山登山、春山
登山と、やれることは、全部やって、この日のために備えてきた。それだけ
の自負はある。地形図も頭に入っている。
ライムストーン・ブラフ(石灰岩の崖場)は、大したことなし。道の代わりに
橋がかけられていた。むしろ、落石が心配だ。視界悪し。
視界が開けると、テアナウ湖とマナポウリ湖の両方が見渡せた。
空は晴れて、絶景だぁ〜!予定時間内に、ラクスモアハットに到着。デッキ
で、ウォーデン(管理人)がみんなを集めて、何か説明していた。
英語は我々の頭を素通りしてゆく。気にしない。気にしない。
50人収容のバンク(寝棚)は入り口の2床(上下)だけが残っていた。 私が下、
HKさんは上に。ここは灯りがない。とりあえず寝床をセットする。屋内は土足
厳禁。したがって、持参したスリッパに取り替える。
(正しくは、ビーチサンダル・・・常にザックのサイドにくくりつけていた。)
台所兼リビングは、若者でいっぱい。大にぎやかである。ストーブに薪をくべて
暖かい。上部に金網が張ってある。そこに山シャツを載せる、乾かすために。
ガスコンロの着火が中々うまくいかない。親切な男性がコツを教えてくれる。
早速夕飯の準備にとりかかる。献立は4日分、全部決めてあるので、それに
従って作業する。
今度は、腰掛けるところがない。若者達はゲームに興じているのだ。食事が
終わっても、行き場がないから、動こうとしない。こちらには、迷惑な話だ。
年寄りに席譲る気持ちなんか、全然持ち合わせていないようだ・・・。 くそ〜!
HKさんが、なんとか場所を見つけてきたので、ようやく食事にありつく。
後片付けして、もう、やることはなし。
7時過ぎに寝袋に入る。そのまま寝入ってしまったようだ。9時すぎに、1度
目が覚めた。HKさんに、「コーヒーでも飲む?」と声をかけると、隣から、
「Be Quiet 静かに!」と声が飛ぶ。そんなにうるさいか? ちょっと、頭にくる。
まだ、早い時間なのに・・・。リビングでは、相変わらず、若い連中はワィワィと
やっている。7時半頃、ウォーデン(管理人)がチケットを集めに来たらしい。
歯を磨き、デッキに出て、1服する。明日はなんとか天気はよいようだ。
<2日目>
ラックスモアHut → アイリスバーンHut (※バーンは小川の意)
7時頃に起床する。満室のルームは、静かに静まりかえっている。外も内も、
まだ真っ暗。皆よく眠っている。早く起きるのが悪いみたい。
トイレは水洗式だ! 水道は(沢水と思うが)整っている。大変清潔に維持され
ている。ハット料金が町のBBH(バックパッカー)並というのが、理解できた。
昨夜、下着は、長袖の薄いプロピレンのシャツに取り替えたが、パンツは替え
ずに寝た。汗で何かと寝心地は悪かった。 後で、HKさんに聞いたんだけど、
シャワー室は無いが、ウオシュルームがあったみたい。残〜念。
7時頃でも、まだ空は薄暗い。朝焼けのように、雲が多少赤みを帯びていた。
今日の空模様は?と考える。朝焼け=天候がくずれる・・・の図式が頭にある
からだ。今日は山岳地帯の尾根歩きの日。良くも悪くも空次第の日だ。
「晴れ女」のHKさんに、期待しよう。
台所は大忙しである。お湯を沸かして、コーヒーを飲む。パンをフライパンで、
トーストして、薄切りチーズ をのせて食べる。後はドライフルーツetc.。結構、
食事は美味しい。一泊したら、「 ハット泊まりも悪くない。」という気分になる。
何ごとも慣れ・・・ということか。
9時出発予定が大幅に遅れる。65リットルのザックに、大急ぎで、ぶち込んで、
トイレを済ませて、さあ出発! 今日はケプラートラック最高の日。晴れれば、
素晴らしい尾根歩きが約束される。
風が強く寒〜い。青のウインドブレーカーを着る。途中、ラックスモア山頂への
登山口があったが、出発が遅れたのと、寒かったので、登山はパスして、
トラバースして、進む。1時間歩いては、5分の休憩をする。・・・このペースを
最後まで守った。尾根から見るテアナウ湖、また氷河に削り取られた山岳は、
本当にすばらしいの1語につきる。
約2時間歩いて フォーレストバーン・ シェルター着。尾根の上なので、とにかく
風が強く冷たい。ガスストーブで、ココアを沸かす。昼食にする。
イスラエルの男女4人がやってきた。シェルターの中で食事するみたい。
私達は、外の木製のしっかりしたテーブルで食事をした。
『タバコ騒動』イスラエル人の1人の男性が、タバコをシェルター内の床の隙間
に落としたらしい。それを、拾い上げるのに、大さわぎ。・・・・だって、タバコは
ここで、1箱800円もするもんなぁー。
ロード・オブ・ザ・リングに出てくるような尾根歩き。ケプラートラックの真骨頂。
歩いているうちに嬉しくなってくる・・・・・・こういう気分に浸れるのは、ここしか
ないかも。
ハンキングバレー・シェルター着。小休憩。ここから先、アイリスバーンHut まで
高度差800mの急坂下りが待っている。真新しい木製のはしごをいくつも降りる。
周りを見渡す余裕なんかないが、全く痛快である。天と地の狭間を歩いている
ような感じがする。
アイリスHutへは、2時間とあるが、休憩をはさむし、荷も重いので、そうはいく
まい。気になっていた右足指の豆が痛む。急坂の連続・・・。しかし、道はよく
整備されている。このコースで、年1回、山岳マラソンが行われるという・・・・・・
とんでもない話だ。
3時間余りかけて、標高差800mを一気に下った。はるか下に見えていた
アイリスバーン(小川)の瀬音が近づいてきた時は、内心ホッとする。アイリス
バーンHutは、NZ自生の草原に建てられている。なかなか良いHutである。
バンク(寝棚)ルームは、数ヶ所に別けられていた。HKさんが、良い場所を
見つけてきてくれる。今夜は昨夜のように、スシ詰め状態ではないようだ。
ウオシュルームで、体をきれいに拭き、新しい下着に着替え、サッパリとする。
夕食を済ませ、ウオーデン(管理人)の話を聞く。今日は女性だった。イスラエル
の若者達は、その最中にも、大きな鍋で、スパゲッティを作っていた。私達の
夕食は、ベーコンと人参の炒め物、きのこのリゾット、赤飯etc.。ここで、初めて
宿帳に記帳する。
一番きびしく、逆に見どころの多いルートを縦走できたという満足感で、ぐっすり
と眠る。至福の時である。ここは、昨夜よりずっと居心地がいい。
<3日目> アイリスバーンHut → モツラウHut へ
7時すぎに、ゆっくりと起きる。朝早く何組か出発して行ったようだが。
私達は今日は、ほとんど平坦なルートをモツラウHutまで、ゆっくり歩けばよい
のだ。慌てることはない。足の指の手当てをする。これで、大丈夫だ。 今日も
天気はよい、ツイているなぁ〜!
朝食も、ゆっくり食べる。したがって、出発が10時になってしまった。アイリス川
沿いに、どんどん歩く。じきにビッグスリップ跡に着く。ロッキーポイントのワーク
ショップに、1時30分頃に到着。近くの滝を見に行って、トイレも済ます。
ベンチで、昼食の準備する。今日はチキンラーメンだ。ベンチ脇に、野ねずみ
が現れる。HKさんの放ったラーメンを食わえて、逃げる。そういえば、例の
イスラエルの若者たちは、アイリス川の川辺で昼食をとっていた。サンドフライ
に攻撃されていないのだろうか? 兵役の休暇中という者達もいたが。
しばらくすると、シニアらしき夫婦がやってきた。互いに会釈して、テーブルに
同席と相なった。アメリカ人カップルで、夫はナント48歳!奥さんは56歳との
こと。夫はアメリカの元軍人で、「まだ5年は働いてもらわないと・・・。」と言う。
再婚同士で、奥さんには、子供が2人とのこと。聞かずとも何でも話す・・・いか
にも、アメリカ人という感じだった。考えると、「自分ほどの歳のシニアは、ここ
Kepler には、来ないのかなぁ・・・。」と思ってしまう。このルートは、中級の上と
いうレベルだから、無理もないかも・・・。
(ザックの重さが16kg以上20kg以下が、中級以上らしい。)
アメリカ人夫婦と別れて、再び歩き始める。空模様は、だんだん良くなるあん
ばいで、余裕を持って歩く。みんな単調で退屈というけれど、原生林歩きは、
自分は好きだ。これぞ、ニュージーランドという気がする。先ほどのアメリカ人
夫婦が声をかけて、追い越して行った。まもなく谷間が広くなり川幅も広く
なってきた。そろそろシャローベイが見える筈だ。そうすれば、今夜の宿、
最後の宿であるモツラウHut も見えてくる筈だ。
シャローベイが見えて来た。ザックの重さは気にならないが、右足の豆が
また痛み始める。多少のUp and Downを繰り返すトラック。HKさんの面白い話
を聞きながら歩く。ザックのショルダーパッドがズレ下がる。(これには、最後
まで、本当に悩まされ続けたのだった。)シャローベイ(マナポウリ湖)沿いに
原生林を歩く。Up and Down は、それほどきついことはない。
ようやくモツラウHut前にたどり着く。モツラウHutは、前の2つに比べて、小振
りである。バンク(棚床)ルームはいくつかある。 HKさんが見つけてきた部屋
は、2段式ベット2組と多少荷物が置ける小部屋である。相客は1人だけ。
好都合だ。
明日は朝食抜きの早立ちと決めている。今までの行程は、すべてスケジュール
通りにここまで来れた。有り難い!夕食に、食料を再確認する。かつおの
フレーク缶を開ける。ドライフルーツ、お菓子をふんだんに食べる。
『トイレ』蚊が、うようよいる。下界は気温が高いせいだろう。体を拭こうにも、
ウオシュルームがない。トイレの数も、男子用は1つだけ。
『タバコ』アイリスと同じように、バンクルームの外はデッキになっており、楽々
と1服吸える。星空を眺めての1服は最高!
早目にザックの整理をする。そして、寝袋に潜り込む。蚊が何匹か、バンク
ルームに入り込んでいる。 あちこちで、スリーピング・バック(寝袋)を、パタ
パタ はたく音がする。
<4日目>
モツウラHut → レインボーリーチ
6時頃起床。それにしても今朝はいい天気だ。昨夜はすばらしい星空だった。
HKさんも気配を感じて、起きてきたようだ。手早く荷物を持って、そっと、バンク
ルームを出る。キッチンで、本格的にパッキングを始める。まだ暗いので、
ヘッドランプをつけて、作業する。7時半前に、出発する。レインボーリーチ
には、10時まで、着かないといけない。
途中、湿地帯に寄る。湖はまだ薄暗くモヤっていた。じきに、日の出を迎えた。
幻想的な風景に、自分も、どっぷりと浸る。温帯雨林帯を黙々と歩く。つり橋を
2ヶ所渡る。ようやく、目的地レインボーリーチに到着した。時間は9時半。
「ケプラー入り口」と書かれた、案内板の前で、記念撮影する。これは、定番
らしい。
予約していたシャトルバスは、まだ来ていない。ようやく終わった!怪我もなく
歩き切った!どれだけ食べても、一向に軽くならないザックを担いで、まぁ、
お互いによく頑張ったものだ・・・! 私達のほかにも、シャトルバスを待って
いる客が、数組いる。皆、満足そう。顔、いや、目が合えば、ニコっとする。
TrackNet 会社のシャトルバス が時間通りに迎えに来た。「Top 10ホリデー
パーク」まで、送ってもらう。モーテルで、他のメンバーと合流す。4日振りの
シャワーは、実に爽快。汗臭い服とも、おさらばだ。昼食は、メンバー手作りの
カレーライス。うんめぇー、うんめぇよ!久し振りの日本の味を楽しむ。
この後は、ミルフォード・サウンド・クルーズが、私達を待っていた。1時に
マイクロバスが迎えにくる手はずだ。でも、疲れたよ、この64歳は。
PS とにかく、感謝、感謝である。第1に天候に。第2に相方のHKさんに。
あとは、Hutの予約からアクセスまで、すべて手配してくれたTokiさんに。
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最終地点レインボーブリッジに到着 ごくろうさん! |
素晴らしい尾根歩き ケプラートラック |
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Lime Stone Blufs 石灰岩の崖 橋が道に取って代わっていた。 |
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フォーレストバーン・シェルター前で イスラエルの若者たちと |
ケプラートラツク(入り口)の 案内板の所で記念撮影 |
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