<第8話> Copland tracks(その2) 
ランチはサンドイッチ、シリアルに豆乳でした。食後はチョコバーとコーヒー。あまり食欲が無かったけど・・・みんなの勢いで仕上げた。

Warden(hut小屋の管理人)に聞く;NZのあちこちで無人のhut小屋にも泊まったが、規模の大きい小屋にはウォーデン(管理人)が常駐している。彼(彼女)等の応対は実に誠実で親切である。そして泊まり客とのコミュニケーションをとても大切にしている・・・さすが国を挙げてアウトドア・スポーツを奨励している国のことだけあると感じた。


この小屋のウォーデンから聞いた話・・・彼は何度かスキーツアーで日本(長野)に行ったことがあると言う。彼は、昔ここで大規模な山津波が発生し、今の前身のhut小屋が完璧に壊れて、押し流されたことを話してくれた。(破壊された当時の生々しい写真が、額に入れて掲示されていた)。このウォーデン氏曰く、登山口からこの小屋迄、最短で4時間余りで来る健脚たちもいるとか。シニアでは、11〜12時間かかって来た人もあったそうだ・・・それに比べたら、君達はなかなか素晴らしい・・・と、我々を褒めてくれた。(人間、幾つになっても!)褒められると嬉しいものだ。(彼はちゃんと人を元気付けるツボを心得ているようだ)

山小屋に、「Giardia(ジアルデァ=食ベン毛虫類);腸管に棲息し激しい下痢を起こす」・・・と写真入りポスターが貼られていた。これを見た時はギクッとなった。何故なら私達は、今までずっと川(沢)水を飲んできた・・・もちろん生水をである。前々からルースに「飲んでも大丈夫?」と尋ねたかったが、それが出来なかった・・・心配なら(水を)自分で運んだら・・と言われそうだったので。 この事もウォーデンに聞いてみた。今までの状況をじっと聞いていた彼は、次のように私に説明してくれた。
ジアルデァは、NZでは河川、湖水に必ず生息している。対策としては煮沸かフイルターで濾過することである・・・と(でも、行動中はとても面倒で無理だと思う)。それから発症しても医者に薬を処方してもらえば、直ぐ治るとのことだった。 でも我々メンバーから、いまだかって、下痢に見舞われたという話は聞いていないので、皆この地の風土に順応してしまったのかもしれない?


ジャパニーズ・カレーの準備;トキと2人で準備にかかった。温泉に入り、ゆっくりと骨休みをしたので、(私達は)リラックスした気分で下ごしらえをする事が出来た。食材は、人参、じゃがいも、玉葱、牛肉それと干しぶどう、カレールーである。やがて鍋からプーンといい匂いがし始めた。カレーの香りが台所内に充満した。ジャパニーズ・カレーの出来上がりである。ところが、お米の炊飯だけは一筋縄にはいかなかった。(私達は)鍋で米を炊いた経験がなかったのである・・・結局はトキの機転で何とか間に合わせる事が出来たけど(汗)。

大好評だった日本のカレー;(私達にとって)あり合わせのコッヘルと携行したガス・ストーブでの調理では、果たして上手く出来るかどうか、全くの冒険だったが・・・どうにか、トキと私の両シェフ、力作のカレーが仕上がった。
テーブルをセットしてローソクを灯し、いざディナーという時に若い女性3人パーティが小屋に戻ってきた。今夜の小屋泊まりは、私達グループだけの筈と思っていたのに・・・ルースが事情を聞いてみると・・・彼女らは川の増水で渡渉出来なかったという。途中に小さなhut小屋があったが、すでにそこは満員状態で、ここまではるばる引き返してきたというのである。

久しぶりの日本料理(?)に舌鼓をうつ。(予備食を持っていなかった)その若い娘さん達3人(国籍不詳)にも、夕食を分けてあげる。皆、美味しい、美味しいの大連発。ヤッター!大成功だ!(感涙!)
ワインの酔いもまわって、フレッドが絶好調で、ジョークを連発して大ハッスルの夜でした。

今夜は2Fで寝ることになった。しめしめ、今夜は相客がずっと少ない。私は2階で眠ることにした。皆から離れた場所に陣取った。ジョアンは、昨夜、いびきをかく人が周りにいなかったにもかかわらず、よく眠れなかったそうだ。要するに彼女は神経質なのだよ。エ〜イ、かまうもんか。私はもう食堂の床で寝るのはゴメンだよ。今夜は熟睡するぞ〜!

増水で引き返して来た若者が腹痛;夜中に暑くて目が覚めた。汗びっしょりだった。上半身、裸になって寝袋の上で汗を拭いていると・・・うめき声が聞こえた。相客の若者からだった。途中で飲んだ川水が腹痛の原因らしかった。私が持っていた梅肉エキス(顆粒)を彼に与えた。幸い、しばらくしてから腹痛は治まったようだった・・・よかったよ。こんなバックカントリーでは医者の往診もままならない。どうしょうも無いのだ。
目が冴えてしまって、なかなか眠れなかった。どうやら夜半頃には雨が上がった様子だった。
  (第8話その2終わり)

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第9話その1へ続く